●水槽の目安は1匹に1Lの水量
メダカは丈夫な魚ですので、水が漏れない容器であればどんなものでも大丈夫です。ペットショップで売られているガラス水槽、発砲スチロール、園芸用のプランターやプラスチック容器などがよく使われています。
重要なのは、メダカの匹数に見合った大きさの水槽を用意する事です。水槽の中に入る水量を把握して、1リットルに対して1匹を目安に飼育しましょう。
●砂利は丸みのあるものを敷くのがオススメ
水槽に底砂を入れることで、水槽を綺麗に演出したり、水の劣化を抑えるバクテリアのすみかとなることも期待できます。底砂に繁殖したバクテリアは、エサの食べ残しやメダカの排泄物から出る毒性の強いアンモニアを分解し、ほぼ無害な硝酸塩に変えます。つまり、バクテリアは水質の安定と浄化には欠かせない微生物になります。
●水草は産卵や夏の日よけにオススメ
メダカにとって水草は隠れ場所や産卵場所になったりします。また、日中は光合成により酸素を供給してくれたり、水を浄化する作用もありますので、なるべく水草は入れてください。
メダカの飼育では、ホテイアオイやアナカリスなどがよく使われています。ホテイアオイの根は水中の余分な栄養分などを吸収し水を浄化してくれたり、夏場の日除け、水温上昇の防止など大変重宝されます。
●飼育場所は日当たりのよい屋外に
水槽を置く場所は、できるだけ日当たりの良い場所に置きましょう。太陽光には殺菌作用があるため、水槽内のメダカが丈夫で健康な状態を維持することができ、病気にかかりにくくなります。
また、繁殖力の増加や、色揚げにも良いと言われています。その点から言うと、メダカを飼育するのは屋外飼育が理想です。
●飼育水はカルキ抜きをしっかりと
メダカを飼育する上で大切なものの1つが水です。
めだかの館では、地下水をくみ上げて使用していますが、ほとんどの愛好家の方は水道水を使う場合が多いと思います。そこで注意が必要なのがカルキです。
水道水には殺菌のために塩素が使用されています。この水道水に含まれる塩素がメダカにとって害のあるものとなります。 水道水の塩素を抜くには、屋外で約24 時間、室内の場合は2~3日水を汲み置きしておくと、自然に水中から塩素が抜けます。また、汲み置き水を常に溜めておけば、水温も気温と同じくらいになり、水換えに使用する際にも好都合です。
●エサは3分で食べきれる量が最適
人に慣れているメダカは、近づくと勢いよく人間の方に近寄ってきます。これは飼育者がきちんとエサを与えている証拠で、とても大事なことです。
メダカは雑食性でプランクトン、ミジンコ、ボウフラ、植物、小さな昆虫など、いろいろなものを食べ、自分が産んだ卵や稚魚までも食べてしまいます。
家の限られたスペースでメダカを飼育する場合は、これらの自然に発生するエサだけでは足りないため、必ず市販されているメダカのエサを与えてください。
●水質の悪化は病気の元
メダカにとって水は命です。
水質の悪化はメダカが病気になったり、死亡する大きな要因となります。そうなる前に定期的に水換えを行い、水質が良い状態を保つよう心がけましょう。
●一週間に一度は水換えを
水換えの頻度と度合いは、メダカの数や水槽の大きさ、バクテリアなどの微生物の繁殖状況、季節などによって変わりますが、目安として1週間に1回、半分程度の水を交換しましょう。ただ、あくまでも目安なので、1週間経っていなくても調子が悪そうだなと思ったらすぐに水替えを行なうなど、日々の観察と臨機応変な対応が必要です。
●稚魚の育成に最適のグリーンウォーター
グリーンウォーターとは、水中で植物プランクトンが発生し、緑色に見える水のことです。このグリーンウォーターがメダカの育成にとって良いことがあり、特に稚魚の育成に効果的な一面があります。
メダカの稚魚は4mm~5mm程度の大きさしかなく、口も小さいため細かいエサしか食べることができません。植物プランクトンは稚魚でも食べることのできるサイズであるため、稚魚が食べるエサの一つとして認識しておくとよいでしょう。
●繁殖の第一歩はオスとメスの見分けから
メダカ飼育での大きな楽しみの1つが、メダカの繁殖です。メダカは条件さえ整えば簡単に卵を産み、殖やすことができます。メダカの繁殖を楽しむためには、まず、オスとメスの違いを覚えて、見分けができるようになりましょう。
メダカのオスとメスは、しりビレと背ビレの形で見分けることができます。
オスのしりビレはメスよりも大きく、平行四辺形のような形をしています。メスのしりビレはオスより小さく、後方(尾ビレ側)に行くほどヒレの幅が狭くなっています。
●産卵時期は4月から10月まで
メダカは屋外飼育の場合、春~秋(4月~10月頃)にかけて産卵をします。それは、水温と日照時間が大きく関わっています。
メダカは水温18℃以上、日照時間が12~14時間以上の環境下で産卵を行います。地域によって差はありますが、4月頃より上記の条件が整いだし、10月頃まで産卵を行います。
11月~3月の寒い時期でも、室内でヒーター等を使用し、夏のような環境を作れば産卵をします。その場合、水温は25℃~28℃くらいに設定し、照明を13時間以上点灯させてください。
●産卵ペア数は、メス>オスが基本
メダカにも相性があり、この相性が合わないと卵は全く産みません。逆に相性が良い場合にはオス1匹、メス1匹の交配でも、毎日卵を産みます。効率よく繁殖をさせるにはオスとメスを合わせて5~10匹はいた方が良いでしょう。
●産卵を観察するなら日の出前
メダカの産卵は夜明け前より始まり、日の出の明るくなる時には終わっています。
産卵を観察したい場合には、夜の間に黒い布などをかけて真っ暗にし、夜中の状態を作ります。翌朝、黒い布をはずすとその時点から求愛行動を始め、産卵を行う可能性があります。
●孵化する条件は250℃・日
卵が孵化するまでの日数には水温が大きく関係しています。水温が高ければ早く孵化し、低ければ孵化までに時間がかかります。
卵が孵化するおおまかな日数を計算する積算温度という方法があります。メダカの積算温度は250℃日(水温(℃ ) ×日数( 日) = 250℃日)とされており、例えば、水温が25℃の場合は約10日で孵化をし、水温が20℃であれば12~13日かかるということです。
●稚魚のエサやりは一日数回少量ずつ
卵を分けた水槽に、ある日針の先のようなとても小さい生き物が泳いでいます。それがメダカの稚魚です。
稚魚はお腹に栄養の袋(ヨークサック)を持っているため、産まれて3~4日間はエサを食べなくても生きていけます。ヨークサックが無くなる3日目あたりからエサを与えてください。
●メダカの様々な病気
メダカがかかりやすい病気は「白点病」、「水カビ病」、「尾ぐされ病」などがあります。
「白点病」は体に白い点々のようなものが付きます。
「水カビ病」は頭部や口先、ヒレなどに白い線のようなカビが付きます。「尾ぐされ病」はヒレがささくれたり、溶けたりします。 いずれの場合も、初期段階であれば治療が可能です。症状が進み、重症化した場合の治療は難しくなります。
メダカを屋外で飼育する際の注意点や、月ごとの管理方法について説明します。
屋 外 飼 育 ( 常 温 飼 育 )
1月
メダカは水底で冬眠しています。天気の良い日中に顔を出したりしますが、触らずに見守りましょう。 冬でも少しずつ水は蒸発していくので、減った分だけ水を継ぎ足す程度の管理は大切です。水を加えるときに、ゆっくりと水流を作らない様に入れるのがポイントです。
2月
1月と同じく触らず見守りましょう。雪が降る場合は、屋根の下に置く配慮も大切です。 日光も必要なので、屋根のある日当たりの良い場所で飼育しましょう。
3月
気温が暖かくなり日中の水温が10度を超えるため、メダカが活動し始めます。暖かい日にはエサを少しずつ与えましょう。寒い日に与えたり、大量に与えたりすると消化不良の原因となるので注意が必要です。下旬になれば暖かい日が続くため、水底の腐敗物を取り除き、半分程度の水替えを行いましょう。
4月
日照時間、水温共にメダカにとって産卵可能な環境となり、産卵シーズンが始まります。産卵はしますが、まだ夜の水温が低いため、孵化率が高くありません。日当たりの良い場所に水槽を置き、水温を上げて飼育しましょう。また、病気が発症しやすい時期です。日々、メダカの様子をみて、調子が悪ければ薬浴、塩浴、水替えを行いましょう。
5月
日中の平均気温が20度を超え、安定して飼育、繁殖できる時期です。エサを日に2回程度あげれば安定して産卵をします。エサの回数を増やすことや、水温が上がる事は、水の劣化に繋がります。1週間に1回程度を目安に半分の水替えをしてあげましょう。
6月
梅雨時期となるので、水槽の水が溢れてメダカが出ないように対策しましょう。雨が入らない様に、屋根の下に置くことも良いです。日照時間が短いため、病気が発生しやすい時期でもあります。晴れた日には日の当たる場所に移動することが大切です。
7月
気温が高くなり、水温も30度を超える日があります。スダレなどを準備し、いつでも影を作ることが出来る状態にしておきましょう。 あまりに日光が入らないと病気の発生に繋がるので、天気予報で判断し、影を作らなくてもいい時は日光を入れてあげましょう。
8月
気温が上がり、水温が1年で最も高い時期です。水温が上がりすぎないようにスダレなどで直射日光を遮りましょう。 水温が高いと水の劣化も早くなります。残ったエサを取り除いたり、いつもより早いペースで水替えを行うことが大切です。 水替えの時には水温が変わりすぎないように気を付けましょう。
9月
8月同様に暑い時期です。水温や水質をこまめにチェックしましょう。西日が水温を異常にあげる原因となります。 西日の当たらない場所で管理しましょう。今年の冬、屋外飼育をする場合、採卵をストップしましょう。 メダカが孵化し、越冬できる成魚になるまで最低3ヶ月かかります。今孵化した稚魚は、冬までに成魚になる事が出来ません。
10月
平均気温が25度以下となりますが、メダカは元気にエサを食べ、卵を産むこともあります。 しかし、季節の変わり目なので、体調を崩すメダカもでてきます。 メダカの様子をみて、エサを減らしたり、水質が劣化していないかチェックしましょう。
11月
寒くなり、メダカの活動も鈍くなります。この時期にエサを与えると消化不良の原因となるので、エサを与えることを避けましょう。 越冬の準備として、水槽内の藻を取り除き、枯葉などを入れ、メダカが隠れる場所を作ってあげれば、メダカはその下でじっとしながら越冬します。
12月
メダカは冬眠状態になり、水底にじっとしています。雪や風などの影響を受けず、日当たりが良い場所においてあげましょう。水温、水質の変化が少ないように大きい水槽で越冬させてあげればなお良いです。
メダカを屋内で飼育する際の注意点や、月ごとの管理方法について説明します。
屋 内 飼 育 ( 加 温 飼 育 )
1月
市販されている水槽用のヒーターで水温を上げます。設定温度は25度が目安です。産卵をさせるのであれば13時間程度、育成だけでも10時間程度の照明が必要です。水槽用のライトを購入して明かりを確保しましょう。
2月
1月と同じく、設定温度は25度が目安です。3月に屋外飼育に移動を考えている場合は、水槽の用意と場所の確保をあらかじめ準備しておくと、3月の移動が円滑に行えます。
3月
外のメダカが動き出したからといって、屋外水槽の水温は夜になると10度を軽く下回ります。水槽用ヒーターの設定温度を少しずつ下げ、屋外水槽の水温が日中に15度を超えるぐらいになってから移動します。屋内から移動しない場合は、冬場からの現状維持で飼育します。
4月
気温も高くなり、水槽用ヒーターを外す時期です。気温の安定する中旬から下旬の間に取り外しましょう。日当たりの良い窓際でも、照明をつけて飼育する方が病気になりにくく、メダカを元気に育てることができます。
5月
4月と変わらず、ヒーターは必要なく、安定して飼育できる時期です。エサを1日に2回与え、適度に水替えをすれば順調に産卵し、孵化をします。孵化した稚魚の水槽にも照明をつけてあげましょう。
6月
屋外では雨水が入り日照時間が少なくなりますが、屋内飼育はその心配がありません。5月同様に、適度な水替えと照明があれば安定して飼育、採卵が行えます。エアレーション、ろ過フィルターを付けてあげればより安定して飼育を行えますのでオススメです。
7月
気温が高くなり、30度を超える日が多くなってきます。部屋の中もかなり暑くなるので、日によっては冷房をしてあげておいた方が良いかもしれません。水質も悪くなるペースが速くなるので、なるべく糞や食べ残しを取り除いて水質が悪くならないように対応してあげましょう。
8月
気温が上がり、水温が1年で最も高い時期です。水温が上がりすぎないようにスダレやカーテンなどで直射日光を遮りましょう。水温が高いと水の劣化も早くなります。残ったエサを取り除いたり、いつもより早いペースで水替えを行うことが大切です。水替えの時には水温が変わりすぎないように気を付けましょう。
9月
8月同様に暑い時期です。水温や水質をこまめにチェックしましょう。西日が水温を異常にあげる原因となります。西日の当たらない場所で管理しましょう。ただ、メダカにとって光は必要なので、水槽用のライトで光を確保してあげると安定して育ってくれます。
10月
屋外飼育していたメダカを屋内飼育に移動する時期です。夜の温度が低いため、水槽用ヒーターで20度前後の設定をし、水温が下がりすぎないようにしましょう。
11月
日が短くなる分、照明で補いましょう。水槽用ヒーターの設定温度を25度前後にし、温度を上げて管理します。ダルマメダカなどは、水温が下がると転覆してしまう恐れがあるため、加温した水槽で飼育しましょう。
12月
水温が20度から25度、日照時間が13時間の条件がそろえば、この時期でもメダカの産卵から孵化、成長の過程を楽しむことが出来ます。また、メダカを殖やすことをしなくても、冬場に活発に泳いでいる姿を鑑賞できるのは、加温飼育の楽しみの1つです。